反対討論 12月定例会 本会議

議会発言

伊勢市議会に参政党の神谷議員と大野議員より意見書の提出がなされました。
内容は以下の通りです。 
これに対して反対の立場から討論をさせていただきました。

「日本国国章損壊の罪」の早期制定を求める意見書

刑法第 92 条には「外国国章損壊罪」が定められており、その構成要件は、「外
国に対して侮辱を加える目的」で、「その国(外国)の国旗そのほかの国章を損
壊し、除去し、または汚損」することとなっている。これは、外交への悪影響を
避けるために定められているが、自国の国旗等についての条文が無かったのは、
当然のこととして日の丸を自ら損壊しようとする人はいないという前提に基づ
くものである。
しかしながら、残念なことに侮辱的な意思を持って日本国の国旗を損壊汚損
する事例は存在する。「国旗及び国歌に関する法律」が制定されたのも、国家の
象徴としての国旗について、我が国のみならず他国のものも尊重するようにな
ることが期待されてのことであるが、罰則規定についても外国国旗等と同様に
定めておくべき状況である。
器物損壊罪の適用で十分ではないか、あるいは表現の自由の観点から処罰規
定の新設は問題であるという主張もあるが、そもそも自国の国旗を大切にでき
ない国家が諸外国と円滑な外交関係を構築することができるとは考えられない。
よって、速やかに「日本国国章損壊の罪」の制定を強く求めるものである。
以上、地方自治法第 99 条の規定により意見書を提出する。

文字おこし

日本国 国章損壊の罪」の早期制定を求める意見書(案)に
反対の立場から討論いたします。

私は、自由と平和を愛し、憲法が保障する人権と民主主義を重んじる一人の日本人 として、本意見書に反対の立場から討論いたします。

私はこれまで、イギリス、オーストラリア、カンボジアに生活する機会を得まし た。異なる文化や政治体制のもとで暮らす中で、日本という国が、自由と秩序、個 人と社会のバランスを大切にしてきた、民主主義国家であることを、改めて実感し ました。 その日本のあり方に誇りを持つからこそ、今回の意見書には強い懸念を抱いており ます。

本意見書は、「日本国国章損壊の罪」という新たな刑罰規定を設けることを求めて います。 一見すると、国旗を大切にする姿勢を示すもののように見えるかもしれません。し かし、ここで問われているのは感情の問題ではなく、 国家がどこまで個人の自由に踏み込んでよいのかという、極めて重要な憲法上の問題です。

日本国憲法第21条は、表現の自由を保障しています。 この自由は、国家にとって都合のよい表現だけを守るものではありません。むしろ、国家や政治に対する批判的で、不快に感じられる表現であっても、それを含め て保障することに、民主主義の本質があります。

国旗に対する行為は、多くの場合、政治的意思を象徴的に示す表現行為です。それ を刑罰の対象とすることは、「この表現は許されない」「この意思表示は処罰されるかもしれない」という空気を社会に生み、人々が自由な意見表明を控えることにつながりかねません。さらに、日本国憲法第19条は、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と明確に定めています。 国旗に対してどのような敬愛の念を抱くか、あるいは抱かないかは、個人の内心に 完全に委ねられるべき究極の自由です。

本意見書案には「自国の国旗を大切にできない国家」という表現がありますが、
国旗への敬意を法律で強制することは、自然な敬意や社会の調和を育むものではあり
ません。
むしろ、国民の内心に踏み込む発想へとつながります。それは、個人の内心を試す
「令和版の踏み絵」のような行為になりかねません
。このような発想は、人々に自らの内心を表に示すかどうかの選択を迫り、 社会に「従っているか否か」を測る物差しを持ち込むことになります。 それは、自由な社会の土台そのものを、静かに揺るがすものです。 海外の事例を見ても、国家に対する象徴的な表現を厳しく取り締まった社会では、 かえって対立や分断が深まった例があります。 2019年、香港では「逃亡犯条例」の撤回を求める大規模なデモが起こりました。 その中で、一部の参加者が、中国政府の方針に強く抗議する意図をもって国旗を焼却する行為が見られました。ここで重要なのは、その行為が正しかったかどうかではありません。 それらは、言葉だけでは伝えきれない憤りや抵抗の意思を、象徴的に示した表現で した。 国家が「許されない表現」を刑罰で封じようとした結果、社会の緊張は高まり、対 話の余地は失われ、分断が深まっていったのです。私たちは、その教訓に目を向け る必要があります。

また、「日本国 国章損壊の罪」という表題そのものが、反対意見を持つ人を、あたかも国家を大切にしない存在であるかのように印象づけ、社会を分断する構図を内包していることも、看過できません。 法律や意見書は、異なる意見を排除するための道具であってはならず、 冷静で理性的な議論をうながすためのものであるべきです。

国旗を損壊した行為については、すでに器物損壊罪など、現行法で対応が可能で す。 あえて新たな犯罪を設け、表現の自由や思想・良心の自由を制約する合理性は、私には見いだせません。

国を愛するとは、異なる意見を封じることではありません。 自由を恐れず、対話を重んじ、分断ではなく調和を選び続けることこそが、日本の強さであり、民主主義の価値だと私は考えます。

以上の理由から、私は「日本国国章損壊の罪」の早期制定を求める本意見書(案) に反対いたします。どうか、憲法の理念と民主主義の在り方に立ち返り、
多くの同僚議員の皆さまのご 賛同を、心からお願い申し上げます。

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